2008年12月23日火曜日

学習指導要領案

が今日公示されたようです。丁度オレの代に学習指導要領が改訂されてから、もうだいぶ経つんですね…。年を取るのは早いなあ(何)とりあえずオレから見た感想でも…

数学Ⅰ…今回で必履修に戻る数学Ⅰは「数と式」「図形と計量」「二次関数」「データの分析」で内容を構成している。新たな内容として、「データの分析」が盛り込まれ、統計の初歩を学べる様になっている。生きる力の育成を図る上で、数学としては「教育の情報化」が必要とされているという感があるが、ここでそれを実行できるだろうか…現場教師の手腕が問われるところである。また、中学で学習する事になった「不等式」「解の公式」もここで採録され、生徒に定着の機会を与えているのが特徴的であると個人的に思う。この内容を工夫して削減する事が今後の進学校教育の課題となるか?
数学A…「場合の数と確率」「整数の性質」「図形の性質」のうち適宜選択して学習。「図形の性質」では「空間図形」の内容を取り入れたらしい。空間認識の育成が第一義とされているようだが、数学B「ベクトル」における「空間ベクトル」の導入部分の内容削減も少なからずあるのではないかと想定できる。「整数の性質」という内容が未知数であるが、整数問題を教科書内容として取り上げるという事なのであろうか?また、初等集合論は数学Aに含まれているのか、それとも数学Ⅰなのか、削除なのかがはっきり書かれていないので、今後の詳細を待ちたい。
数学Ⅱ…「いろいろな式」「図形と方程式」「指数関数・対数関数」「三角関数」「微分・積分の考え」で構成。二項定理は「いろいろな式」で扱われる模様。従来の「式と証明」「複素数と方程式」が統合する形になるのだろうか。具体的な内容が見えない分コメントしようがないが、「いろいろな式」ではある程度の内容削減があるのではないかと推測できる。ただ、それほど変化はないであろう。
数学B…「確率分布と統計的な推測」「数列」「ベクトル」のうち適宜選択して学習。従来数学Cにあった「確率分布」が数学Bに移動した。この内容は数学Aの「データ分析」同様、教育の情報化を適応できるような内容となっている。指導者は「情報科」の内容との重複を考慮すべきか?先の数学Aでも述べた様に「空間ベクトル」での導入部分が削減されている可能性はあるが、本質は変わらないだろう。
数学Ⅲ…今回の改訂で一番変更が大きいのがこの数学Ⅲである。まずは単位数が3→5に変更された。これに伴い数学Cが廃止となり、行列を学習しないのではないかという懸念があったが、数学Ⅲの内容はそれを考慮した工夫が一応されているものとなった(ちなみに行列の廃止は明記されていないが、学習指導要領案に「行列」という文字がなく、どこで行列が学習されるか示唆するものが無かった事より本ページでは行列が廃止となったものとして以下扱う。行列が内容として存続する場合は後日本ページで訂正させて頂く)。内容構成は「平面上の曲線と複素数平面」「極限」「微分法」「積分法」。注目は「複素数平面」が10年ぶりに復活するということ、従来応用分野として扱われていた「曲線の長さ」が正規内容として盛り込まれたということであろうか。特に「複素数平面」の復活は今後世間の注目を集めそうである。この事についての私的な意見を述べさせて頂くが、まずこの「複素数平面」の復活は私にとっても衝撃であった。自分の中では「複素数平面」は二度と復活しないものかと思っていた。ただ、この復活に関しては歓迎すべきものであるが、十分注意しないといけないようなものである。歓迎すべきとは、まず行列の廃止と複素数平面の復活が同時であるという事。いずれも廃止となると平面上の回転(より一般に一次変換)が行えなくなるからである。次にこの内容を扱うのが数学Ⅲであるという事。複素数平面は理系学生は頻繁に使うものの、正直文系学生が使い内容ではないので、その意味で内容選択をしたといえる。ただ不安な部分もある。まずは内容が中途半端にならない様に注意しなければならないという事。どの程度扱うかによって複素数に対する知識があやふやなもので終わってしまう恐れがあるからだ。また、行列の廃止も注意すべきだろう。理系大学入学時に行列を学んでいないと多くの学生が線形代数でつまづく事になるだろう。また電気系の学生がまともにFパラメータを計算できない事になり、非常に困る事になるのではないかと懸念している。いずれにせよ大学教育の工夫も今後必要となってくるであろう。

参考文献
http://sankei.jp.msn.com/life/education/081222/edc0812221933005-n1.htm


以上、堅くなってしまいましたが書いてみました。書いたら止まんなくなっちゃいましたwww

1 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

文部科学省は、平面上の点の移動は理系学生にとって必須だと考えなのでしょう。1970年に改訂の指導要領「現代化」に初めて行列が登場してから、今まで途絶えることなく入っていた行列。1989改訂、1994~2002の指導要領「個性化多様化」で一次変換がなかった時代(ここだけ複素平面があった)も、演算だけはありました。
 複素数平面、一次変換の両方入っていた時代はないので、一次変換削除は分かりますが、行列全て削除はかなりの内容削減になりますね。ちなみに、今まで行列は必ず独立した単元になっていたため、単元名にないということは全廃とみてよいでしょう。
曲線の長さを復活させるだけでは前回に比べても更なる内容削減に繋がると思いました。それだけ2Bまでの内容を充実させたいのでしょう。1では統計処理を、2では二項定理を、Aでは空間を、それぞれ導入。2年までの内容増加分、3年ではゆとりを持たせようという意図があるのだと思います。